何かであること
先日、小学生のお母さんが、子どもクラスの実施後に伝えてくれたエピソードです。
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これまで以上に集中して描いてました。とても楽しかったようです。私が夏休みの宿題に持って行ったら?と言ったら、娘はこう言ったのです。
「学校に持っていくと、これは何?と聞かれるし、説明しなければならないから、大事な作品は持って行かない。」
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子どもたちにとって、作品というのは何かを作ろうとしてできたわけではないのです。
目の前の絵の具の動き、色、見るもの全てが新しい世界との出会いであって、驚きと感動から手を動かし、自分でも想像を超える瞬間の連続で生まれたものなのです。
その痕跡が作品であり、何かである必要はないのです。そして、自分でも説明つかない過程を、他者に言葉で説明することなど到底できないはずです。それは子どもたちが、自らの感覚でわかっているのかもしれません。
大人の私たちは、「何か」であるとほっとします。そしてその「何か」という物差しによって良い悪いと判断してしまいがちです。しかし、アートの世界において、「何かであること」は大事なことではありません。むしろ、大人の私たちは、「まだ見ぬ世界を見せてくれて嬉しい」と、共に感動することが大切なのだと感じます。
未知の世界を一緒に見ていけるって、本当に素敵なことだと思います。子どもたちが、その体験を安心して積み重ねることで、これから先の未来を自ら創造していく力へと変えていくのですから。^^
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